豪華な刺繍がたっぷり入ったインド刺繍リボン。
インドでどうやって作られているのか考えたことってありますか?
前回のコラム①では、刺繍リボンとサリーの関係について紹介しました。
刺繍リボンはもともとはサリーのふち飾りだったんですね。
今回のコラムでは、サリーとは切り離して生産されるようになった刺繍リボンが、
工場でいったいどのように作られているのかについてお話します!
この記事では、
・流通しているインド刺繍リボンはどんなものがあるのか
・実際にインドではどのように作られているのかを、
2020年からインド刺繍リボンを販売している「刺繍リボンのお店TRIP UTOPIA」の店主が解説します。
もくじ
流通している刺繍リボンについて
現在市場に流通しているのは、
・古いサリーのふち飾りを切り出したもの
・最初から刺繍リボンとして生産されたもの
の二種類になっています。
前者の古いサリーのふち飾りは必ずしも刺繍入りのものだけではなく、
色とりどりの糸や金の糸で模様を織り込んだものもあります。
しばしば「織り」のふち飾りも新品として流通していますが、
染めのものは見かけないですね。
後者の「最初から刺繍リボンとして生産されたもの」が、
当店(刺繍リボンのお店TRIP UTOPIA)や日本の手芸店で売られている刺繍リボンです。
それでは、刺繍リボンがどのように作られているのか具体的に見てみましょう!
刺繍リボンの生産工程
刺繍リボンの生産工程は、おおまかに4つのパートに分かれています。
①刺繍を入れる
刺繍部分は基本的に超巨大なミシンによって刺繍されています。
大きな布に、一気に柄を刺繍してゆくんですね!
②1列ずつカットする
刺繍が終わったら、一列ずつカットしてゆきます。
③ふちを縫う
ふちの部分は人がミシンを使って縫っているんです。
ときどき刺繍リボンの幅にムラがあったり、縁の処理がめちゃくちゃになったりしているのは、膨大な量のリボンが一本一本人の手で仕上げられている(ときにしばしばクオリティ気にせず縫っちゃってる)からなんですね……
④巻き取る
刺繍リボンが完成したら、検品されながら手で巻き取られ、1巻が完成します。
どうでしょうか?
思ったより人の手が入っているなと思いませんか?
私も最初は「刺繍はミシンでやってるね」ぐらいの認識しかなかったのですが、
セラーさんに工場の様子をリモートで見せてもらって初めて知りました。
刺繍ミシンは繊細なので、どうしても不良が出てしまったり、工場の人が糸の色を間違えていたりとトラブルがつきもの。
さらに手作業も加わって、不良箇所が除かれたり増えたり(!?)しているのですね。
パールやビジューが付くものは手で取り付けられている
刺繍リボンの中には、ときどきパールやビジューが貼り付けられているものがあります。
なんとそのタイプのデザインは、パールやビジューを一つ一つ手作業で取り付けています!
ベースの刺繍は通常の刺繍リボンと同様に生産されていますが、
その後丁寧にパールやビジューを取り付けてゆくんですね。
総手刺繍のインド刺繍リボンはあるのか?
総手刺繍のインド刺繍リボンは、新品として流通しているものは「総ビーズ刺繍」のものが見受けられます。
一般的な刺繍リボンのデザイン(布地にカラフルな刺繍が施されているデザイン)で、新品の総手刺繍リボンは見かけることがありませんね。
ただし、総手刺繍のサリーから切り取られた刺繍リボンであれば、総手刺繍のインド刺繍リボンは存在します!
総手刺繍の古いサリーから切り取られた刺繍リボンは希少性が高いものとしてごくわずかに流通しています。
そもそも総手刺繍で作られたサリーは高級品なんです!
そんな贅沢なサリーを切り離して再利用するかどうか…?
(例えば私たちであれば高級着物やブランドの衣服を着古したからと言ってすぐに裁断はしませんよね)
また、場合によっては、サリーのアレンジとして、持ち主が自分で手刺繍を行なった刺繍リボンも存在するのではないかと思います。
とはいえ果たして個人で行った刺繍箇所だけを切り取って保管されているか、そしてそれが市場に出回るのかどうかというと難しそうですよね。
私の手元にある(おそらく)総手刺繍であるオールドサリーの刺繍リボンの来歴は不明ですが、
このように、古いものであればごくまれに見つけることができます。
おわりに
刺繍リボンの作り方について、私はセラーさんとの何気ないやり取りの中で知ったので、
教えてもらったときはシンプルだけどなるほどとすっかり納得してしまいました。
自分の手元にある製品が、どこでどのようにして作られてやってきたのかを知ることって、想像力が刺激されますよね。
手元にあるモノが、いったいどこでどんな風に、どんな人たちによってつくられたのか……
私はモノが作られる背景を知ることで、作られた場所や作った人、その土地の文化へのリスペクトを忘れることなく、ただ消費するだけではないモノへの態度をとることができるようになると考えています。
だから刺繍リボンもただ可愛いからってだけじゃなく、
作られた背景を知った上で好きになることで楽しさが何倍にもなる!
と思ってコラム記事を書いているんです。
このコラム記事を読んで、
「もっと刺繍リボンやそれを取り巻く文化について知りたい!」
と思ってもらえると嬉しいです!
このコラム記事では今後何回かに分けて、刺繍リボンについての小ばなしを紹介していきます。
投稿した際にはTwitterやInstagramにてお知らせをしますので、そちらもフォローいただけると嬉しいです!
これからも皆様のお役に立てるよう、鋭意執筆して参ります!
今回ご紹介した以外にも、このブログではインド刺繍リボンを使った様々なレシピを公開しています!
ここには載せなかったミシンを使ったレシピも充実していますよ。
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